親族が相続放棄してくれません!【登記茶屋 4杯目】

登記茶屋とは……
司法書士がまだ「代書人」と呼ばれていた明治時代、登記所の隣には、食事を楽しみながら登記の完了を待つための茶屋があったとか……

まったくあの子ったら……
まだ来ないのかしら。

待ち合わせですか?

そうなのよ!
わたしの親族なんですけれどもね、何をするにも遅いのなんのって!

今日する相続の話でも、以前「相続放棄するから」なんて言ってから、もう1ヶ月以上経っているのよ!
何もいらないなら、早いところ放棄してほしいのに!

相続放棄……ですか。

わたしは耳は長くても、気はそんなに長くないんです!
……って、長居してちゃマスターにも悪いわね。
えーっと、何かおかわりを……

「モカ」!この「モカ」にするわ!
ところで名前はよく聞くけれど、「モカ」って結局何なのかしら?

たしかに「モカ」という言葉は、コーヒーに関する様々な場面で耳にしますね。
たとえば、コーヒーにチョコレートを加えたドリンクは「カフェモカ」と呼ばれています。

しかし、今回の「モカ」はチョコレートとは関係なく、使われている豆の品種のお話です。

豆の品種としての「モカ」には、実はイエメン産とエチオピア産の2種類があります。

イエメン産のモカは、昔から変わらない原始的な栽培・精製方法による野性的な風味が特徴です。
エチオピア産のモカは、コーヒー発祥の地としての華やかでフルーティな風味が特徴です。

どちらもイエメンの「モカ港」から世界中に輸出されていたという歴史があるため、同じ「モカ」という名前で呼ばれるようになりました。

細分化すると、イエメンのバニーマタル地方由来の「モカマタリ」やエチオピアのイルガチェフェ地区由来の「モカイルガチェフェ」など、栽培された地名を冠する魅力的な品種が多く存在します。

ところで……モカと同じく、相続放棄にも2種類あることをご存知でしたか?

あら、そうだったの?

はい。相続放棄には、家庭裁判所に申し立てる正式な相続放棄と、家庭裁判所を使わない事実上の相続放棄の2種類があります。

家庭裁判所を使わない事実上の相続放棄は、たとえば他の相続人に自分の相続分を譲渡したり、自分は何も相続しないという内容の遺産分割協議書に捺印したりする形で行うものですね。

預貯金などのプラスの財産を放棄するだけであれば、この事実上の相続放棄でじゅうぶん事足ります。
しかし、もし借金のようなマイナスの財産まで放棄したい場合には、家庭裁判所で正式な相続放棄の手続きを取る必要があるのです。

家庭裁判所……なんだか面倒くさそうな話ね。
別に借金もないから、事実上の相続放棄で良いと思うんだけれど。

その親族の方がなかなか動いてくれないのは、もしかしたら正式な相続放棄をしなければいけないと勘違いしているからなのかもしれませんね。

事実上の相続放棄で足りるということであれば、こちらで必要な書類を作成して、あとはハンコを押してもらうだけという形でお願いすれば、意外とすんなり対応してもらえるかもしれません。

なるほど……
同じ「相続放棄」という言葉を使っていても、認識が違っている可能性があるってことね。

もちろん、なかなか動いてくれないのは相手が納得していないからという可能性もあります。
その場合には、放棄しろという書類をいきなり送りつけることでトラブルに発展するおそれもあります。

やっぱり事前にちゃんと連絡を取って確認するのが大切ってことね。
トラブルになって、弁護士を立てたり裁判になったりするのはゴメンだわ。

やぁやぁうさみさん。
随分と早いじゃないか。

かめすけさん!
集合は「10時過ぎ」だって言うから、わたし10時01分から待っていたのよ!

「10時過ぎ」なんだから、そんなに早いわけがないだろう。
だってほら、まだ10時59分じゃないか。

……同じ言葉でも、受け止め方はそれぞれですよね。