相続登記は3年ギリギリでもOK?【登記茶屋 1杯目】

登記茶屋とは……
司法書士がまだ「代書人」と呼ばれていた明治時代、登記所の隣には、食事を楽しみながら登記の完了を待つための茶屋があったとか……

マスターおはよう。
ホットコーヒーを1つ。

コーヒーといえば、アイツが毎朝淹れてくれていたな。
急にぽっくり逝っちまって……

……

家も共有名義だったからさ。
3年以内の相続登記が義務化……なんて言われても、そんな急には考えられないよ。

なぁマスター。
人生……いや亀生長いんだから、相続登記は3年ギリギリまで待っても大丈夫だよな?

……ガス、と同じですよ。

ガス……?

コーヒー豆は焙煎したてが一番美味しいと思われがちですが、実はそうとは限りません。
焙煎したてのコーヒー豆には、二酸化炭素のガスが多く含まれています。
ガスが多く含まれていると、粉とお湯の接する面積が小さくなってしまい、うまく成分を抽出することができないんですよ。

それでは逆に、時間を置くほど美味しくなるかというと、これもそうとは限りません。
コーヒー豆に含まれる油分が酸化してしまうからです。
酸化した油分は嫌な酸っぱさの原因になります。
この酸っぱさは、豆本来のフルーティな酸味とは全くの別物です。

つまり、焙煎した豆は少し(数日~2週間ほど)寝かせたうえで、すぐに消費するのがベストということですね。

そして、これは相続登記にも共通するのかもしれません。

たしかに、令和6年4月から相続登記が義務化されました。
簡単に言うと「不動産を相続したら、3年以内に名義変更をしなさい」ということですね。

ですが、身近な人を亡くしたばかりで、いきなり不動産の名義のことまで考えられる方はなかなかいません。
ましてや亡くなった直後は、死亡届の提出年金の受給停止相続税の申告など、もっと期限の短い手続きがたくさんあります。
「相続登記は期限まで3年あるから、ギリギリまで延ばそうかな」と思われるのは自然なことです。

ただし、後回しにすればするほど、次のようなリスクがあることは頭に入れておいてください。

①話し合いが難しくなるリスク

3年間の間に、他の共同相続人に死亡・認知症・行方不明などの事情が発生してしまった場合、遺産分割協議(話し合い)が困難になるおそれがあります。
特に、認知症行方不明の方がいる状態で遺産分割協議を成立させようとすると、かなりの追加費用が必要になるかもしれません。

②書類が揃わないリスク

相続発生直後は、さまざまな相続手続きのために戸籍謄本などの書類を全て手元に揃えることになります。
しかし、しばらくすると
「原本を使って(提出)してしまった」
「他の相続人に返してしまった」
「どこかに失くしてしまった」
と、必要な書類が不足してしまうのは相続登記あるあるです。
役所で再取得したり、他の相続人に送り返してもらえたりすればよいですが、保管期間の経過「今さら協力できないよ」と言われてしまうリスクもあります。

③間に合わないリスク

司法書士に依頼すればすぐに終わると思っていたら、相続登記が終わるまで長期間かかると言われてしまった……そんなケースもあります。
相続登記に長期間を要する例としては
・相続人が大人数いる
・外国籍や海外在住の相続人がいる
・裁判所での手続きが必要になる
などの場合です。
早めに動き始めていればこんなに焦らずに済んだのに……と悔やまれる方も、残念ながらお会いしたことがあります。

つまり、相続登記は「最速で取り組む必要はないけれど、時間に余裕が生まれたら早めに動き始めた方がいい」というのが、私の考えですかね。
もちろん個別の事情によりますので、不安な場合は相談だけでも司法書士にお願いするのがオススメです。

なるほど……コーヒー豆も相続登記も、鮮度が命ってワケだな!
ありがとう先生!コーヒーもごちそうさん!

……先生ではなく、マスターと呼んでください。
またのご来店をお待ちしております。